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ALI PROJECT
【ディレッタントの秘かな愉しみ】
2005.07.19 (Fri) 大阪バナナホール
出演
ALI PROJECT
ディレッタントの鎮魂歌

バナナホールへは、何回か行ったことがあるにも関わらず、
入場した瞬間に、いつものLIVEと違う点に気付いた。

スタンディングの形式ではなく、椅子があった。

完全に聴かせるタイプで、予想がつかないLIVEにドキドキしながら6列目下手寄りに座る。

そしてSEもなく、薄暗いままエレキバイオリンの二人の男性が衣装を着て登場。
そして後、片倉三起也さん、スーツで登場。
まずこの構成に驚いた。映像音楽を手がけている片倉三起也さんと、この二人であの音楽を表現していくとは…。


そして、待望の、宝野アリカ嬢、登場。
衣装はチャイナ服で、チラリと見える脚にはブーツが…。
頭には華が刺され、拍手で登場

そしていきなり、沈黙を切り裂くような神聖なコーラス。
綺麗だけど毒々しい闇の世界に引きずり込むような新曲「君がため、惜しからざりし命さへ」
大抵、実力のないアーティストなら音源以下の演奏で粗かったりするのだが、
ここから既に妖艶な魅力を放つところがさすがであった。
妖しい紅の照明の中、ファルセットで声を振りしぼり終わったアリカ嬢…そしてそのまま、流れよく、「愛と誠」へ。
軽快なテンポで座席に座りながらも、リズムを身体で取っている人もいた。そしてMCへ。

アリカ嬢「みなさんこんばんわ、ALI PROJECTです。
     大阪へは、【EROTIC&HERETIC】から三年ぶり…ですね。
     今日は、「ディレッタントの秘かな愉しみ」ということで…
     アルバム、「Dilettante」が中心ですが、懐かしいこの曲を演奏したいと思います。
     では、「戦争と平和」。」


おどけたリズムの裏にストーリー性を感じるこの人気曲、
俺も生で聴けて嬉しかった。迫り来るような声の表現が巧くCDより生で聴いた感覚が心地よかった。
そして「赤と黒」。耳障りの良いキャッチーなフレーズ、
ミドルチューンでありながらも刻むようなバイオリンの音色が緻密な音の波状を起こしている。
そして、俺の好きな曲の一つ、「ディレッタントの秘かな愉しみ」…アリカさんのMCでは、


アリカ嬢「この曲は…腹が立つくらい高い声を出さないといけないんですが、
     一生懸命歌います(笑)、「ディレッタントの秘かな愉しみ」…」


優しい母性を感じさせるようなハイトーン・ボイス。
しかし優しい中に心をくすぐる何かがあるような不思議な曲、
ライブツアー名前にもなるようなこの曲はこれからもやっていって欲しい俺の中の名曲であった。
そして、「密猟区」。 ここでアリカ嬢、可愛らしいくも変調し奇妙で淫らな密室空間をあらわすようなこの曲。
アリカ嬢はバラ鞭(?)を取り出し、掲げながら熱唱。しかし、曲が終わった後、アリカ嬢

アリカ嬢「この鞭…ハタキじゃないですよ?(笑)
    今日ライブで使おうと思って見てみたら、「シマッタ…」って思っちゃって(笑)」


…正直、アリカ嬢って気品溢れて冗談一つ言わない高貴な人ってイメージがあったんだけど、
こんなに溶け込みやすいMCが出来るとは思わなかった。
まぁ…オフィシャルサイトのコメントなどを見てもそんな感じだったけれど実感がわからなくて。
またひとつ好きになれた気がした。


そしてアリカ嬢、再びMC


アリカ嬢「好事家というのは、私のイメージとしては太った中国人なんですよ。人間の欲求として三つ…性欲、知識欲、…そして食欲。民衆がやせ細っているのにも関わらず好事家は、美味しい食事、カニバリズム…食欲を満たして悦に浸るんですね。この曲、人生美味礼讃では、男性人のコーラスも入って思ってたのとは違ったイメージの曲になっちゃってて。(笑)」
「あと、大阪には来なかったんだけど、ドラッグクイーンの知り合いにこの曲を聞かせると、

「アリカさぁん素敵ネェ…この曲、好きな人が好きで好きで堪らなくって、食べちゃうぐらい好きっていう内容なんでしょぉ?」
って。いろんな捉え方をしてくれて面白いですね。」

こういった内容の張り詰めた空気を柔らかくするような談笑MCから「人生美味礼讃」へ…。 退廃的な世界を広げる、「未來のイヴ」「月蝕グランギニョル」へ…。スピード感が溢れるこの曲。ファンの人も「来たっ」と言わんばかりで椅子に座りながらも心ではノリノリだっただろう。しかし終わったあとのアリカ嬢のMCでは、「…二曲連続でこれをやると疲れますね。(苦笑)」


と疲れ気味で言ってました(笑)
そして、中国語の発音に苦労したという「緋紅的牡丹」へ…美しいメロディにのせて淡々と…歌われる中国語の歌詞。言葉がメロディになって耳を通っていく感覚が心地良かった。

耽美で荘厳な世界…そしてアットホームでまったりとした空間も作れる。
心に少しのゆとりを持たせて世界を堪能させてくれる…これがALI PROJECTのライブ。
こういう魅力が長くファンを引き止めるんだな…
「そしてこの後…本編は残り二曲…ですね。では、「地獄の季節」。」
そして最後「北京Lovers」。ゆったりとしたバラードでありつつも姫君のホラーな恋心が壮大な音で圧倒する。
そしてその余韻に浸ったまま締め、拍手のなか四人は去っていった。



アンコール…コンサートのように拍手が続くなか、片倉さん。
トークが苦手そうで…、
片倉「えぇー…と。祇園祭に行った人、手を挙げて〜」
(少数手を挙げる)
そっからちょっと覚えてません(苦笑・謝罪)
力が抜けるようなゆるいトーク。こんな温和な人がアリプロの音楽を手がけてるのかぁ…と考えるとちょっと意外。
そして、結局片倉さん、


片倉「二三分待っててね、水飲んで来ます」と普通に退場。ものすっごい自由でした。
そしてバイオリンの二人が衣装を変えて登場。白を元に、文字や赤の模様が入った和風に。
そしてアリカ嬢が少し時間がかかっているため、片倉さん、トークのネタが尽きたようで困る。

あげくの果てに、バイオリンの人に、
片倉「星月夜のサビの部分弾いておいて。」っと言う始末、バイオリンの人、困惑(笑)。
そして困惑して間誤付いてるうちにアリカ嬢、下に黒く肌の露出が多い衣装に、和の打掛を羽織って登場。

アリカ嬢「ごめんなさぁーい、時間かかってしまって。ライブ中にうちかけ着るなんて…
     さて、この衣装で何の曲を演奏するかわかりますね?では、聴いてください、阿修羅姫


ギターの音色、日本語歌詞の韻を踏みメロディを紡ぎだす新曲、阿修羅姫。
この曲を聴いてはじめてアリプロのLIVEに来た人もいるだろう。
みんな待ち望んでいたを見計らったように、綺麗に歌い上げ、
羽織っていた打ち掛けをはらりと脱ぎ、華奢な身体があらわになり、「禁じられた遊び」へ。
その細い身体から出される声と楽器隊の旋律で和から洋に見事に転換。見事歌いあげた後、打ち掛けを手に、



アリカ嬢「…この打ち掛け、もう着ないんですけどね。どうしましょう、コレ…(笑)(いいながら隅っこに置くアリカ嬢)」

アリカ嬢「星月夜など歌いながら泣ける曲があったのですが、鎮魂頌が出来てからこの他の曲では泣けないようになりました。この曲はある少年が、異空間で戦争で亡くなっていった人たちに出会い、『現世を生きて欲しい』という願うという内容でして…私がこのようなことを歌ってもいいのかどうか解らないんですが、心を込めて歌います、聴いてください、鎮魂頌

そういって歌われた鎮魂頌。
本当はこのようにMCで言ったかどうか現在書いている自分にとっては定かではないんだけれど、ただ確かなのは、あのライブに行ったことで何気なく聴いていたこの曲が、より重くずっしりと心に響くように聴こえるようになってしまったことである。…そんな「鎮魂頌」を心で聴く観客、そして無事ライブ終了。メンバーが退場したにも関わらず、拍手が鳴り止まず…再びアリカ嬢と片倉さんが登場。「本当にありがとうございました」という感謝の言葉を後に退場し、ライブは完全に終了した。

… …


いつも行くライブとは違うノリだったけれど、
心がほんの少し軽くなったような気がしたライブであった。
「次はいつだろう」と、今終わったにもかかわらず次を欲してしまうような空間を作り出す技量は素晴らしいと思う。
また行きたい…次はいつの日だろうか…。


・君がため、惜しからざりし命さへ
・愛と誠
・戦争と平和
・赤と黒
・ディレッタントの秘かな愉しみ
・密猟区
・肉体の悪魔
・人生美味礼讃
・未來のイヴ
・月蝕グランギニョル
・緋紅的牡丹
・地獄の季節
・北京Lovers
・-encore1-
・阿修羅姫
・禁じられた遊び
・-encore2-
・星月夜
・鎮魂頌




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