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rice
【rice live [0/∞ Lv:イカ10]】
2007.02.07 (Wed) OSAKA MUSE
出演
rice

心はいつも貴方の側に

riceがワンマンを行ってから一ヶ月半以上の期間を明けたことになる。

久々で楽しみな人、俺のようにはじめて来る人もいる。
男性のファンが目立ち、外国人の方も居た。
一般的にヴィジュアル系と呼ばれるLIVEではロリータや、
パンク系のファッションに身を包む「バンギャル」がたくさんいたりするのだが、
riceのLIVEはカジュアルな服装でも楽しめるようだ。

暗転し、中華風のSEが鳴り響くと、ベース、キーボード、チェロ、ギターがセットに付いた。
ドラムHiro、ヴォーカル有紀が登場するとメンバーを呼ぶ声。


有紀「会いたかったぞぉおおお!!」


有紀の一声を皮切りに始まったのは「兎に角」であった。拳を振り上げ、声をあげる。
艶のある声、笑顔で身体全体で乗せる有紀、またドラムHiroも含め、
スペシャリストな人達がriceの音楽を構成しているためか音一つ一つがかなり心地よい。

「飼い殺して」

待ち望んだファンの想いが詰まっていた気がした。
そして疾走感を保ったまま空へと昇るような爽快感を与えた「こころ音」が終わった後、

有紀「もっと、もっと、もっとぉ!」

riceも声を求めたらしい。
そして「ハイ、ジャンプ!ジャンプ」と煽った「矛と盾」、
和のテイストを感じるこの曲に有紀のヴォーカルの良い部分が全て出ているように感じたのは、
きっと俺のお気に入りの曲であり、聴けたという感動も手伝っているだろう。
全身で表現し、それが心を満たしていく。
そして、サビ終わりのコーラス。

有紀「もっと声…」

マイクを放し、心の奥からアカペラで歌う有紀、

有紀「もっと声聞かせてよォ(笑)」

…とおどけてみせる有紀、それに笑いながら答えるファン。

有紀「ありがとう」

そんな一声を言ってくれるriceが好きだから、みんな笑顔なんだろう。
最後は全体的にゆったりとしたテンポながらも軽いヘッドバンキングし、
美麗のピアノとチェロの音から「」へと入った。
テンポの良い曲ながらもメンバーを呼ぶ声もなく、ただただ耳を傾け、
自然と拍手が起き、それに答えるかのように唇をすぼめる有紀。



有紀「…チューしただけだよ(笑)」

ファン「(笑)」

有紀「久しぶりィ。元気?ただいま。もう…俺、どこにも帰らないから。
   この土地に住むから。楽しんでいってね?(笑)」

ファン「はぁ〜い」

有紀「大阪のみんなに聞いて欲しい曲があります。
   一生懸命メンバーでアレンジした曲があります。
   昔からやっている曲ながら違った表情を見せると想います。
   聞いてください。アンゲルディエ 月の彩」


甲高い神聖なオルガンから、静かに歌い上げられた。
アンゲルディエ 月の彩」、
riceが生まれたとき、予約して買った思い出、何度も聞いた思い出、
そして今、新しい形で聴くこの曲に身が震えそうになった。

おそろしく綺麗。触ると崩れそうなぐらいな…そんな音であった。
力強い拍手が起こる、それが答えだろう。

有紀「今日はねー…、いっぱい曲を用意したからねぇー・・・
    楽しんでいったほうがいいと思うよ?(笑)」


正直、俺はもうここで終わってもいいとも思った。
詰まらないからじゃなくて、心がこの地点で満たされていたからだ。
今までのアンコールが終わっても、
不完全燃焼であったライヴが多かったことが馬鹿馬鹿しくなる位であるほどに。


有紀「一緒に歌える曲があったら…シャシャって!
   自分が自分がァ…だから声、いっぱい聞かせて。
   …本当に、久しぶりィ♪本当〜昨日眠れなくて、
   ずっと鼻ほじってたホテルで。(笑)」

会場「(爆笑)」

有紀「今回、いつもなら俺とHiroで曲順決めてたんだけど、
   お店で待ち合わせてみんなでアジャネコジャネ、アジャネコジャネ、
   最後まで楽しんでいってください♪
   すごい久しぶりな曲、さてマキシシングル「鐡-くろがね-」から「積歴の刹那」」


オルガンと落ち着いたテンポ。指先をくるりと回してみたりと、
全身でパントマイムのような動きをして楽しく歌い上げる有紀。
一瞬ブレイクして、音が無くなる部分ではみんな綺麗にそろいコーラスをしてそれに笑みを浮かべるメンバー。
そんな温かいやり取りがあった「積歴の刹那」、
有紀コールに、「ナァニィ〜?」とおどけた声で答えてみせる有紀。

有紀「ものすごい久しぶりにやったのに案外覚えてるもんだね。
   やるじゃん、お前達♪このアタイをビックリさせるなんてやるじゃん、お前達♪」

会場「(笑)」
有紀「大きな草原でやってみたいな…って思うときがあるんですけど、
   なかなか草原でLIVEやる施設が無いもんでして」
会場「(笑)」
有紀「満点の星空、青空でもいいです。
   雨と雪以外ならなんでもいいです。(  ̄- ̄)」
会場「(笑)」
有紀「それでは聞いてください…はるか」


朗々と歌い上げる有紀。シングルで聴いたことがある人は知っているだろう。
はるか」を草原で歌いたいという理由、どれだけ迫力があるかを。
バンドは音源どおりの音を出すことで下手上手を決める機雷があるが、
この小さな会場での「はるか」は、音源をはるかに超越していた。
そして、アルペジオギターから入ったのは「夢追人」。
ベストアルバムに含まれた新曲である。
電車で旅立っていく恋人を見守る歌詞、昭和テイストを感じるメロディとスピード感、
情景が見える感情豊かな楽曲である。
そして拍手が起きた後、「声を出していこうか!」、
披露されたのは新曲から一番古い曲となる「アンゲルディエ 雪の彩」、
拳を振り上げて声をあげる会場。ロックテイストを保ったまま、「Square」。

ベストアルバムに入った楽曲であるが、
激しい縦ノリの曲調のカッコよさとコーラスに思わずゾクゾクした。
そして紫色の照明と無機質で怪しいベース音から「ソクラテス」、

有紀「好きなようなノリで、会場を揺らせぇええ!」

ヘッドバンキング、拳をあげる、声をあげるダンスフロアとなった会場。
そして両方の拳を振り上げるロックナンバー「Fake Star」。
最長となりながらもノリを殺さない楽曲である。
初めて聴くわけだが…一番好きになった曲である。
メジャーな曲ではなく、マイナーな曲を『好き』と呼ぶファンを演じているわけではないが、
本当にその激しく、世界観に引きこませる展開に楽曲としての魅力を感じた。

「景色の果てまで闇雲に走った 涙の数だけ優しさに包まれた」

そんな想いを歌い上げ、会場で拳を振り上げ、一つになった。

有紀「楽しんでますか?今日ね…男の人、目立つね。男の子元気ですかぁー!!」

男「おぉー!!」

有紀「これ同性に支持されるってことは…これ、本物ってことっすからね ( ゚ _ ゚ )」

男「本物ォオオオ!!」

有紀「モットォ!(笑)」

男「本物ォオオオ!!」

このやり取りに思わず爆笑する有紀とHiro。

有紀「女の子元気ですかぁー!?」

女「イェーイ!」
有紀「コンカイノriceハ、コノ声ヲ聞キニ、ココヘキマシタ。」

女「(笑)」

有紀「いやー、本当に楽しみだった。
   どうやって気を紛らわすかだよね。
   そういう話が年末にでるじゃん?そうすると三ヶ月ぐらいあるわけ。
   だいたい90日あるけれど、四捨五入すると大体、
   一万日ぐらいあるわけじゃん?(会場笑)
   たまんねぇー、何して気をまぎらわそー、
   …で、結局、鼻ほじるしかないんだけど。(笑)」

会場「可愛い〜」

有紀「鼻ほじるの別に可愛くないから!(爆笑)
   でもライヴハウスってやっぱりいいよね…たまんねッと思ったもん。
   『有紀〜』って声聞いて『え、誰、俺!?』みたいな。
   左の胸いっぱいです。右はねぇー、もう少しでいっぱいになると思うんですよ〜、
   俺の右胸をいっぱいにしてくださぃ〜ぃい〜〜(駄々っ子)」

会場「(笑)」


そして、Hiroコールに手を振る、Hiro。

有紀「やっぱりね、覚えてもらえてるってことはすごく嬉しいことだよね。
   もっと解りやすく言うと、忘れないでいてくれてるってすごい嬉しいことだよね。
   正直、不安もあったわけ、でもあれだね、一曲目から助かれちゃったね。
   今日は…俺の負けです。(笑)

忘れられるってことが一番悲しいことなんだろうね。
記憶から薄れていってしまうことが一番悲しいことなんだろうね。
一緒に同じ時間を生きてきて、結婚して子供が産まれても、
俺が死んでも誰かが覚えてくれたら良いなと思います。
死んだ後、仏壇から俺達のCDが出てきて、
『何これ、ポイ』ってされないような…そういう歌い手になれたらいいなと思います。(笑)
俺も喋るのはあまり得意な方ではないので今日は…いっぱい歌います。
心をこめて歌います、『勿忘草』」


勿忘草」…正直、あまり好きな曲ではなかったりしたのだけれど、
このMCを聞いて、聴こえ方が違えた俺が居た。
ファンであることに盲目的にあり続けること、
良いことでもあるし悪いことでもある…だけど今日は俺も、
そんなriceのファンでありたかった。
忘れないように、耳を凝らして、忘れないように一つ一つの言葉をただただ聴いた。
そして、リズムを刻むドラミングから、温かく入ったのは、ハープの音、
有紀のゴスペル調に自由に歌い上げる「Re:bye

「さよなら空 側に居てくれた空」

同じような歌詞で歌い上げるのだが、涙が出そうになった。
『別れる』ことの辛さ、『出会うこと』の温かさ、
俺にとっては有紀とHiroは久しぶり。
Raphael以来。でも、riceとしては、はじめまして。
歌声が会場を包む、温かく、深く、鮮やかに。
逆ダイ…ヘドバン、そんな終わり方で終わってもよいライヴもある。
でもこうして、出会えたこと・別れることをしっかりと歌えるバンドって、
今、少ないんじゃないかと思った。

有紀「コンタクト…自分でつけれるようになったから、
   みんなの顔見えるんだよ?」
会場「(笑)」

有紀「…でも、こう…ちゃんと見てから、
   おいしいビールを飲みたいと思います。
   遠い土地へ赴いたことがある人は解ると思うけれど、
   きっとみんなでこのライブを作っていったからだろうね。
   お互いが空気を作り上げている感情…みんなとお揃いだと思うけれど、
   みんなに会いに来てよかったと思います。すごい悩んでいることがあって…
   『今泣くか』、『後で泣くか』(笑)」
会場「今、泣いて〜」
有紀「一年九ヶ月ぶりぐらい…本当に久しぶりだったけれど、
   決して何も無かったわけではないけれど、それを信じて欲しくて、
   今日ここに歌いにきてます。今日は本当にここに来てよかった。」

そしてメンバー紹介。
ピアノ、ぶんちゃん。ベース、ふーみん。
チェロ、えいちゃん。ギター大志。そしてドラム、Hiro。ボーカル、有紀。
そして、「樹々」を歌い上げる。しばらく長い拍手が起こる。
そして、有紀とHiro、えいちゃん以外がステージから捌けていき、
有紀がベースを持つ。

有紀「続けることの難しさ、少しづつだけど解っているつもりだから。
   簡単に言うと、『まった来るよん♪』ってことです。(笑)
    聴いてください、Air」

「ララ〜ラ〜」でしか構成されていない、歌詞のない曲。
riceの音源に入っている、そのときそのときを表現するための大切な曲。
曲が終わりメンバーが去って行く。
これで今日はもう終わりだろう…そう思えた、満たされていた。
でもアンコールがあった。まだ聴ける、聴きたい、…でもいいや、
満足したし…贅沢かつ複雑な迷いだった。

そしてHiro、大志、有紀が登場。キーボードを勝手にひいたり、
ドラムを叩いてみたり。


有紀「いっぱい変なつまみがあるんだけど…勝手にいじったら、
   後ですげぇ怒られるからやめておく。(苦笑)」


そして、改めてメンバー紹介する。

有紀「バルァーズゥを、歌いタィとオモイマァースゥ。
   (出っ歯で(笑))結構いい曲を歌いたいと思います。
   …絶対、夢に出てくるぞ、今の。(笑)
    歌詞のとおりね、一人じゃないって解ってるんだけど、
    何かを求めてしまう…一人じゃない、君には僕が居る、僕には君が居る、
    何の変哲も無い日常に芽生えた感情、聴いてください、Sunny Side Up」

そして歌い上げられた、「Sunny Side Up」。
本当に何の変哲も無い日常、CDのジャケットだって、
ニコチャンマークのバッジだったりする。グロテスクでもない。ゴシックでもない。
あのジャケットを思い出すたびにどこかに新しい、温かな気持ちが溢れてた。
「一人じゃない」、巷のバンドがステージにあがり何度も言い続けてきた言葉である。
陳腐な言葉である。…でも常套句を聞くたびに感じたあのスルーしていた気持ちは無く、
違って聞こえた。『ここにいるじゃん』、本当に軽い気持ち。
愛しているって言葉も無いけれど、『いるよ』って温かい気持ちで溢れた曲であった。
そして、メンバーで手を繋ぎ、ゆっくりと礼をした。


鳴り止まないアンコール。

有紀「なになに?まだまだ元気あるの?
   まだ帰りたくないの?俺も全然帰る気無かったぁああ!!」
会場「(笑)」
有紀「みんなは一人のために、一人はみんなのために!STAY!」

STAY」、明るく朗らかに歌い上げるアップテンポの曲。
声をあげる、拳を上げる、笑顔で作り上げる。

有紀「俺は帰らない(笑) 心はいつも貴方の側に…Happy is always、
   これが今年の合言葉です。行きたいと思います、何でこういうことを言うかというと、
   『俺はそう思われる人になりたいから』、だからこの大切な感情を歌いたいと想います。
   最後に新曲を聴いてもらいたいと想います。もう我慢できません。(笑)
   今日の笑顔忘れないでください!」

近未来的な同期音が鳴り響く、優しい音で包んでいく「Happy is always」、
叫ぶことも無い、ただテンポにあわせて身体をノらせる。
だけどそれでいい。自由にノれる。
新曲ながらもみんなでコーラスし、最後までみんなで作っていくライヴ。
その大切さを改めてファンとして実感したライヴであった。
「側に居てあげる」、それを飾りで終わるかどうかは楽曲で決まる。
riceを見て思った、この言葉は飾りじゃない。
飾りにしないバンド。そう思えたライヴであった。






ここに来るとき肌寒い夜であった。
しかし外に出たとき、少し温かく感じた、

二月の七日、夜九時の話である。




・兎に角
・こころ音
・矛と盾
・辻
・アンゲルディエ 月の彩(re-arange version)
・積歴の刹那
・はるか
・夢追人
・アンゲルディエ 雪の彩
・Square
・Fake Star
・勿忘草
・Re:Bye
・樹々
・Air

-encore1-
・Sunny Side Up
-encore2-
・STAY
・Happy is always(新曲)





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