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9GOATS BLACK OUT
【 〜 震撼遊戯 〜 】
2009.06.20 (sat) 大阪MUSE
出演
the Underneath
アヲイ
9GOATS BLACK OUT
オープニングアクト:LOKI
会場を深く落とした黒と光

the Underneathの熱気が落ち着くものの、会場はまだ人で埋まっている。
「次のバンドは、9GOATS BLACK OUT」。
どこから情報がリークしたか解らないが、それでも各自半信半疑だったようだ。

その情報は確かであったことは、暗闇に響く、9GOATS BLACK OUT 編曲の坂本龍一「ハイ・ヒールズ」で証明された。
壮大なアレンジをされたSEも、今では定番で、彼らの到来を意味する曲となった。

……………

メンバーを呼ぶ声が少ない。
沈黙というよりは、「呑まれる」「期待に声が出ない」

そんな不思議な期待が会場に溢れているのが解る、
不思議だが心地よい緊張感のある空間である。
akaya、aki、hati、uTa…そして遅れて登場し、そっと、
想い人の目を閉ざすかのようにスタンドのマイクに掌を翳すryo。

真っ暗な会場に真っ白な光が降り注ぐ、「Sleeping Beauty」のイントロから始まる。
その先に愛する人を見るかのように、ryoは想いをこめて歌い上げ、
uTa、hatiもプレイに集中し、心に沁み込みながらもどこか優しさを感じる冬の音色が鳴り響く。

雪が降り注ぎそうな青みがかった光からやがて、真っ赤な照明へと転換し、
どこか暗闇の中から牙を見せる「Lestat」。
ドラキュラを訪仏とさせるようなアクションを見せながら歌いあげ、歪んだベース音が会場を沈ませる。

やがて、暗闇の森から想いの海に溺れる「ROMEO」へと続く。
ハイトーンヴォイスを駆使し、ストーリーテラーのように歌い表現する。
時に嘲笑を現すかのように高らかに笑い、怒りに歪んだ顔でシニカルな引き笑いをするryo。
登場人物による演劇を見ているかのような演出は毎度見ても引き込まれる。


曲が終わり、やがて赤子の泣き声のようなノイズ混じりのSEが流れ、
akiのドラムから浮遊感溢れる音色を見せる「red shoes」
色気のある毒気を含んだサウンド、無言を誘うように口元に指を立て、「しっ…」と黙らせる魅せ方。
デスヴォイスでたたみかけ、さらにキーが高くなるサビなど、ギターアンサンブルも含め、複雑な構成となっている新曲である。

ワンマンから見せるそのハイトーンヴォイスで展開される妖しいサビは、
掴みどころが無く、それゆえ、無言で引きつけられる。
ガラガラと音を立てて崩れていくような展開を見せる「red shoes」から、 「690min」へとテンションを一変させ、
hati、uTaの煽るように弾くストリングス部隊、狂気じみたryoのアクションにより昂揚していく。

「大阪ぁ、声を、声を聞かせてくれよぉ!!!?俺の頭を砕いてくれぇえ!!」

速度を増した「headache」は、客層を荒々しく感情を煽る。
指折り数える姿も印象的な二曲は、これからも起爆剤として活躍しうる曲だ。


回数を重ねるたびにパワーが上がっており、少し満身総意気味のメンバー。
メンバーの名前を呼ぶ声。akiの叩くドラミングに呼応するかのように、ryoも座り込みながらも必死に声を求める。


…静寂を綺麗な音色が鳴り響く。akayaのキーボードの音だ。
ピアノの音が響き渡り、澄んだ空気が流れ始める。

そしてその先には…真っ赤な…絶望と悲嘆…そして再帰の色を見せる景色、
「落日」へと向かう。雛鳥が羽ばたく様に両手を広げ…顔を隠し、
嘆き崩れる姿を堪えるように歌うryo。
どれだけの人達が、歌詞の中にある落日を感じただろうか。


空を見上げ、溜息を吐く。

「ありがとう。8月、BIGCATでまた出会いましょう。バイバイ。」

そしてそっと去っていく、9GOATS BLACK OUT。
会場に響く、拍手。そして声。一つの劇を見たような高揚感を得る。
気が付けば始まり、気が付けば終わっていく。心に満足感を残し、次のライヴへの枯渇感を感じさせる。
不思議な魅力を持ったバンドである。


・Sleeping Beauty
・Lestat
・ROMEO
・red shoes
・690min
・headache
・落日




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