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拘束ノ棺
GHOST/ ゴースト
拘束ノ棺
発売日:2005/05/10

参考価格:¥ 1,260
価格:¥ 1,260
※この情報は、2009/05/08 00:08のものです。
溺れる魚

視覚的な想像をさせるメロディアスナンバー。音そのものは、ダークかつどこかサディスティック。
そのサディスティックな部分と愛を感じるメロディアスな部分はきっと歌詞の世界にあるからだろう。
場所は高き地位を築き上げた男の地下室…そこには見られてはいけないものがある。

拷問道具?死体?何かは解らないけれど、とにかくその領域に踏み込まれてはいけない。
しかしある日、窓も無いその部屋に見知らぬ少女が紛れ込んだ。
秘密を守るように、やがてその少女を監禁し閉じ込め、調教をはじめる男。

見知らぬ少女が何故迷い込んだのか…ただその男に好意を寄せていたから。
その人が何を想い、何を感じ何を隠していたのかが知りたかった。
形は不本意であるけれど…ずっと繋がっていられるなら、もっと縛り付けて欲しい。
互いの想いにすれ違いはあるけれど、壊れそうな愛に溺れる、二匹の魚。

壊れそうな程 あの空が痛くて
ずっと塞いでいた思いを 解き放つ


震える心臓ヲ伝ふ傷

ペンデュラムがユラユラと揺れ動くような一定のフレーズの繰り返し。
その同じフレーズが不気味さを漂わせるミドルテンポな曲。
物語が展開していくように歌い上げるヴォーカル、Kousei。

息を吸うときのブレス音すらも物語の世界へいざなう要素として一枚買っている。
少女と、男の関係。今は立場が『少女が男に求愛している』となっているが、
少し前は、『男が少女に求愛している』という関係だった。

届かぬ思いに愛する対象を乗り換えた…そのとき同時に道を踏み外した男。
少女が大切に保管していたのは、自分が送り続けた恋文。
昔のあの頃の少女に対して…自分とどこか似たものを感じた。
もっと別の愛し方をしたかった。寄り添って欲しかった。ただそれだけだった。
しかし、踏み外した道からは、もう戻れない。

遥かなる月は 泣いていたね
あたたかく包み込んで 遥かなる月は
泣いていたね 声を殺して恨んで

CANDY

箱をカチャリと開けて流れ出すオルゴール音…綺麗なんだけれどどこか埃が被った音、
切り替わってメロディアスなサビを歌い上げると、
また…「震える心臓ヲ伝ふ傷」を歌い上げる…。
不思議な感覚のまま置いてきぼりをくらっているスキを狙うかのように急展開で別の曲、「CANDY」がはじまる。
調教を繰り返した少女が逃げ出したという展開。
目を開けながらも、白昼夢に浸り夢を見ていた男は夢から覚めた。

少女が居なくなったという現実を目の当たりにし、やがて…その歪んだ愛の結末に決断を下す。

ひび割れたマリア 少し手を延ばす… 右手には愛を左手に決断を

my evaluation


限定1000枚の作品。ライヴで人気の高い三曲をセレクトした作品。
作品タイトルとなる、「拘束ノ棺」であるが、三曲通して一つの物語となっている。
曲のところどころに、金属を叩き落す音や、喘ぎ声…聴いていて映像が思い浮かぶような作品となっている。

音圧も若干弱く、楽器などの機材もあまりよくない、まだまだ発展途上な印象を受けるが、
ダークでSMチックな世界は聴いていてとても面白く作り込まれている。個人的に好きな作品。
昨今の高いシングルよりは、良心的で楽しめる作品だ。

特に「溺れる魚」とか、メロディラインが綺麗だけど、危ない雰囲気が出ていて中々良い。
サラー…と流しながら聴けるダークサウンド、
歌詞の中の世界は濃厚で倒錯的な世界でサウンドに深みを与える。こういった作品は好き。