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「罪と罰」Brand-New Capsule ]W
† amazon†
GHOST/ ゴースト
罪と罰 Brand New Capsule XIV
発売日:2006/12/20

参考価格:¥ 3,150
価格:¥ 3,150
※この情報は、2009/05/08 00:08のものです。
Cynical Strippers

ディスコ調のドラムリズムから、一気にゴシックホラーなテイストのサウンドへと展開する。
呪術を唱えるような英詩とコーラス、同期音で彩られた後は、
メロディアスなサビが武器となった疾走感を生かしたデスヴォイス有りの一曲目。Kousei作詞作曲。
奴隷となった男女が性的に交わる模様を見るという地下の密会の物語。
ただただ盲目的に交わりあう魅惑の世界…しかしどれだけ愛していても、
求められても、それが本当の愛なのか解らない。今はただ、演じ合う。月光の下で二人、官能的に踊りあう。

気づけば君との夜数えたり 見てないフリで慰めたり
無意識に距離重ねたり dance in the moonlight

Psycho-Escape

激しくヘヴィなサウンドで、かなり攻撃的な攻めナンバー。PVでは、発禁となるような表現が満載である。
「精神逃避」、人が狂気に堕ちていく模様を描くかのように、「廻る廻る」と歌い上げるKousei。
Yuraのノイジィーなギターが音波音のような表現となって面白い。
サビでは聴かせるようなテンポだが、どこか悲しい。
孤独を求める心の底にある、絶望に悩める心情。それでも狂気は止まらない。

ゆりかごは微睡み

女性の悲鳴から入るメロディアスナンバー。ベース零の作品であり、実は4〜5年前から原曲があった曲。
ヴィジュアルロックシーンの流行に左右されない魅力がある曲となるこの「ゆりかごは微睡み(まどろみ)」は、
前回リリースされたシングル曲であり、アルバムに収録されている。
展開が多く、視覚的にも見える音楽というコンセプトを守った作品だが、歌詞は愛する人を失い、嘆いたものとなる。
夢の中では色褪せない夢のままでいられるのに、 現実は孤独・悲しみとなり容赦なく残された者を襲う。
ゆりかごは、微睡みの中に存在する。

指先が求めたぬくもりに 色褪せない傷跡は
嘲笑い拒んだ 追憶は道連れに 輝き背にして 途切れそうな核心と
溜息に気づいて
十二月の桜

GHOSTの持つゴシックな仄暗さと和風テイストが交じり合ったGHOST初のバラード。ひすい作曲。
どうして自分はこんなに弱いのだろう…愛する人を想うことで、自分がどうしようもなくなってしまう"弱さ"。
この"弱さ"を思い浮かべるたびに"君"を思い出し、会えぬ日々に辛さを覚える一人の女性の物語。十二月…冬である。
それでも、心の中の桜は散ることなく、ただただ恋人を想い、春を歌い続ける。
Breath

こちらも前曲、「十二月の桜」を作曲した、ギタリストひすい作曲。
ズクズクと刻むようなリズムと、Kouseiのキャッチーなヴォーカルによりライヴを意識した曲となった。
「ライヴ空間で共に輝こう」というメッセージ性があり、ストレートなテイストとなっている。
最後はとどめのような怒涛のサウンドで締めくくる。
ラブロマンス

昔のGHOSTの魅力と、今のGHOSTの魅力を併せ持った曲。
ドラマティックな展開と、荘厳なゴシックを感じさせる同期音とサウンド。
綺麗に歌い上げるKouseiが、純愛を歌っているように思わせ、切なさを出しているのだが、
曲の中身は屈折した愛情。暴走した愛情、どうしても物にしたいという情熱に人が焦がれ、堕ちていく様を描いている。

ベランダから愛を込めて 窓を叩くから
君の寝顔…我慢できない 堕ちてゆくラブロマンス

ff

激しいテイストの曲が多いGHOSTであるが、
その王道をあえて外し、キャッチーかつ聴きやすい展開となった曲。
現実に疲れ果てた人達、眠れない夜が多いけれど空を見上げれば、
自分達が迷わないように側に居るというメッセージを含めている。
どこか現実離れした倒錯した作品が多いGHOSTであるが、
こういった一体感を感じさせる爽やかな曲も今までの流れでは異端であるが、このアルバム内では王道となっている。

ふた雫落ちた涙 傷跡の灯消す為に
まだ眠れないけれど そっと手を繋ごう 未来を見つめ…

約束の花

オルゴール音のような同期と、葬儀を感じさせる儀式的なロックサウンド。
予測できない展開と、耳につくサビのヴォーカルライン。
前半と後半でのサウンドの質が違い、どこか心情が変わったように感じた。
この曲は、自ら命を絶ってしまった人に向けて歌った、追悼の歌。
誰よりも強く儚く、苦しみ、命を絶った人。あちらの世界とこちらの世界、
あまりにも遠すぎる距離。あちらの世界の景色は案外、
綺麗じゃないかもしれず近々行くかもしれない…しかし、この世界にある苦しみを受け入れ、生きていく。

燃え尽きる命に少しでも安らぎを
僕からできる事探して

眠レナイ夜ハ幻覚症状ト×××

ベーシスト、零が、自ら飼っていた亡くなった猫に捧げた歌…であるが、
リスナーとして、この妖艶な曲調を聴いてもその想いが全く感じない。(苦笑)
Kousei曰く、零の猫が病気を持っていて、映らないように囲われていた様子を見て書いたとのこと。
SM調の歌詞。罪と罰の文字が爛れているところも注目すべきか。

とろける幻覚症状から 耳を…耳をかじり
痺れるように旋律 ドギドギ…
侵世界

ピアノの奏でる音から一気に開放感のある曲調へと変わる、GHOSTの楽曲の中で人気トップクラスのナンバー。
元々は無料配布音源だったが、メンバー編成も現在と比べて変わったため取り直したとのこと。

痛みが徐々に精神を侵食していき、愛情へと変わる。歪んだ愛情はやがて、互いに理想郷へと向かう。
ヴォーカル無しでも使える効果音、明るいテンポ、綺麗に歌い上げるKouseiであるが、
歌っている内容は美麗に加工された甘美なSM世界。

迷いなき静かな瞳に宿る積み上げた理想郷 はばたきを休める地に抱かれて 侵世界へ
for dear

過去DVD作品としてリリースされており歌詞は掲載されていなかった。初回盤のみのボーナストラック。
悲壮感と疾走感を感じさせるメロディ。美麗と妖艶が混ざった重いゴシックホラーの匂いを漂わせるサウンド。
GHOSTの要素を抽出したような曲である。

箱庭の天使のような君、汚れ無き肉体を、己が秘めた欲望で艶に染めていく主従関係の世界。
全てを甘く甘く、絡ませる、輪廻を共に廻るように。

もうすぐ空は空は涙。 ひとつを演じる 偽りだらけの景色へと
やがて少年の夜が終わらないように 黒く黒く闇に染めてゆく

my evaluation


旧作から新曲まで混ざった作品。バリエーション豊富な楽曲で溢れている。
正直言うと、はじめはこのアルバムはそんなに好きではなかったんだけれど、
聴けば聴くほど味が出てきて、歌詞を深く突き詰めていくことで、GHOSTのSM世界にハマったって感じかな。
だから歌詞を読まない人には、面白くないかも。ちなみに音は、ゲームのサウンドトラックのようにドラマチック。

個人的に一押しなのが、「Cynical Strippers」と「ラブロマンス」。
「Cynical Strippers」はダークロウズという18禁ゲームがあるんだけれど、その世界にハマる感じ。
「ラブロマンス」は迫力ある同期音と、Kouseiの純粋な女性の心理を感じさせるように、
歌い上げるんだけどその純粋さが逆に怖く感じさせてなかなかGood。

初めての人にもオススメできる…かなぁー…初回盤があるということは、
2ndプレスがあると考えればいいんだろうけれど。聴き続けると魅力が出てくるアルバム。