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Core(完全初回限定盤)(DVD付)
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Kagrra,/ カグラ
Core(完全初回限定盤)(DVD付)
発売日:2008/01/09
参考価格:¥3,780
価格:¥2,898 OFF : ¥882 (23%)
※この情報は、2009/10/16 02:25のものです。
彩の讃歌

前回の作品、「雫〜shizuku〜」からの進化、Kagrra,の「Core」をもっとも感じさせる曲。
美麗な和のテイスト、作曲作詞に一ヶ月以上費やした一曲。「生命」の歌を歌う。
芽吹く命、傷つき、泪を流し、知らない間にたくさんのことを得て、たくさんのことを失う。
あまりの苦難と孤独感に「私は独り」と思ってしまうかもしれないけれど…
それを乗り越えた先、大切な人が出来たとき、「私は独り」から、
「私は一人」と感じるように…命の先にある光が待っていて、ずっと自分達を見つめている。
Kagrra,の核、「生と死」「癒し」…そして今まで培った全てが詰まった曲。


人は常に風に乗せて 唄い続ける
愛満ち溢れた詞を
雨情

ベーシスト女雅が作曲したファンキーな曲。
3分弱の短い曲ながらも存在感があるテイストとなっている。
月が「愛する人」と捉えると、何かの罪で捕まった者の心情か。
悔やみ、悩んでも、確かにあったチャンスに戻れず、ただ、
罰を感じさせるような雨が降り注ぐ。

頼ってみても あの月には届かない

四月一日

琴の音とシンセ音が前面的に出ている和+中華テイスト。
軽やかに奏でられるテンポが癒しを感じさせる。
何かに急がされているかのように人が生き急ぐ現在の社会。
そんな世界の中で、春を感じさせる季節の息吹を歌っている。


凛と咲いた桜その真下で もう一度あなたに出逢いたくて

斬帝(ギルティー)

「四月一日」から一転して切り裂くように鋭いロックテイストの曲、斬帝(ギルティー)。
しかしKagrra,らしい和のテイスト、インディーズ作品「煌」のときに見たカッコよさが含まれている。
歌詞のコアとなる部分として、『戦い、生きろ』というメッセージを感じた。
生まれた意味を知りたいのなら、自分を信じて戦い抜け。
所詮、嘘や偽りに飲み込まれるのが現よ…
だが、せめて自分だけでも「真実」となり「刃」となるような生き方を。


この世は闇夜暗闇よ 真実は嘘に呑まれる
即ち刹那の生命よ 抗え刃となりて


忘却の果ての凍えた孤独

深く、澄んだ音色を奏でる音。仄暗く冷たい…ながらも悲しくて優しい音色。
サビでは一志のヴォーカルラインが一層悲しみを含ませ、表題の「孤独」を感じさせている。

感じさせるのはメロディだけでなく、きっと死んだ恋人を歌っているから。
忘れたいのに忘れられない、悲しいことなんてすぐに忘れれると思っても、進めない。
額に飾られた無数の愛する人が…変わらず側で微笑んだまま。
やがて、生きているのかわからないまま時は過ぎる。


あの頃には戻れないから もう眠ろう、、、。


Kagrra,+ラテン系ということで、今までとは異質なテイストの曲。
「賽(さい)」は、確かにサイコロの「賽」であり、歌詞も一見すれば博打の曲に見える。
しかし…賽はもう一つの書き方で「采」とあり、『選ぶ』という意味もある。
慣用句『采は投げられた』は、この漢字だ。

本題に入ると、欲望の道に構える選択の全ては、片方が吉で片方が凶の丁半で決まらず、
実は如何様(イカサマ)で行く先は全て「絶望」に過ぎないとシニカルに歌う。
闇に埋もれた現の行き先も…例外は無くいつか終わりがやってくる。


時代は今 滅びの言葉を
叫び 唸れど 届かず


風の記憶

一つの映画を見ているかのように、感情の動きを感じさせる展開の曲。
激しくも無いが、テンポも速くも無い。胸に少しづつ、滲むような感覚はきっと、
ひとつひとつの音が綺麗に調和しているからだろう。
「別れ」の歌。ひとつひとつの思い出を二人でかみ締め、最後、二人は背を向け、別の道を歩く。
霞んで消えた愛する人を見たとき、何度も重ねた唇が…もどかしく震える。


もっと強く君を抱きしめていたのなら 現在は変わったの?

神風

タイトルどおり、日の丸を背負い、犠牲となったあの「神風」である。
躍動感のあるアップテンポなリズム。白水のドラムと女雅のベースのリズム隊が肝になる。
騙す不幸より、騙されるほうがまだ幸せ。手遅れと解っている己の国の状態。
死んでいく辛さというよりも、こうなったら潔く散って、生まれ変わっても、
戦場でまた散って、呵々大笑(カカタイショウ)しようぜと開き直った心情を描いている。


今更この世界 修正は効かない

雪恋詩

曲タイトルのように、綺麗で繊細な音色でメロディアス。
しかし、報われない片思いを歌っている。雪のように降り積もり想いと、
あとほんの少しの勇気があれば、 側にいれたかもしれない…
伝えられなかった蟠りを感じさせる切ない曲。


いつでも側にいてくれたなら
この僕の中にわだかまっている 灰色の景色さえも晴れるのに

新・百鬼夜行

昔ながらのファンなら「キカイカイカイカイ」が思い浮かぶが全くの別物。
お祭騒ぎのおどけた感じもありつつも、仄暗い闇を感じさせる曲。
アルバムの中で一番の闇が潜んでいるのはおどろおどろしい掛け声も関係しているのかも。
曲調からして別曲かと思うと歌詞を見ると、前と少し似た部分も残っている。
『古都の扉』、現の世に渦巻く悲しみから生まれ、全てを飲み干さんとする夜行。
悲しみから生まれ、悲しみに呑まれる…未来永劫、何度も繰り返す。


喰え 泪を呑み乾して


my evaluation


俺がKagrra,を好きになったのは、「鵺」からである。
前回の作品、「雫〜shizuku〜」をリリースした後、シングルも出さず、時間が過ぎ、
今回のアルバムがリリースされたわけだが…古典的な世界を表現していたKagrra,が
一気に変化して別バンドになった…といった感覚を受けた。

リラックスして流しても聴ける作品。和のテイストのはずなのに今の時代背景を感じさせる世界観。
クオリティが高くなっていて、過去作品を聴くと別バンドに感じるのに…

一方で「Kagrra,だな」と感じ、納得してしまう矛盾が孕んだ作品である。

現在の時代のものを唄ったもの、過去の和の時代に歌われた曲などを感じさせるように、
歌詞のフォントも、曲ごとに違うという細かい芸を感じさせる歌詞も面白い。

長々となってしまったが、簡潔にいうと良いアルバム。
仄暗い和のテイストの曲は極端に無くなったわけだが、
メッセージを深く突っ込むことも出来るし、広く浅い感覚でも楽しめる作品となった。
悲しくて泣くというより、優しい何かが滲む感覚。過去のKagrra,が掲げた「癒し」があるかも。