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目下の泥濘
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Moran/ モラン
目下の泥濘
発売日:2008/07/23
参考価格:\1,575
価格:\4,500 OFF : -\2,925 (-186%)
※この情報は、2009/06/03 21:12のものです。
目下の泥濘(もっかのぬかるみ)

雨音の鳴る中、光が差し込むようなサウンド。
しかし、どこか湿り気を感じるのは、全体的なメロディラインのせいだろうか。

Elementに対する答え、「喪失からの脱却」がテーマ。
雨から逃れられない女の子と、太陽を背負った雨を知らない男の子の話。

彼女の歩む道の不安定さを知り、「自分はそこを歩けない」とくじけそうになる。
しかし、自分にとってそれがどうしても必要だということに気づき、
溺れかけたその泥濘へ踏み出していく。
最後、男の子は雨と女の子の不安を知り、腕を掴む。

辛さや恐怖を共有し、それでもその先にある大切な声に手を伸ばすことが、本当の救いとなる。
上辺だけの言葉では無い、本当の救い。

つま先 下ろすことで解った 君が歩む道の危うさを
余計なものは棄ててきた もうためらわずその腕を掴むよ

Sea of fingers

Hitomiのハスキーヴォイスが映えるミドルテンポの煽り曲。
アンダーグラウンドな雰囲気を漂わせるグラムロックのようなテイストになっており、
ライヴでも盛り上がりを見せる曲となっている。

妖しげな何かと、晴やかなサビに眠る歌詞は、ライヴ中のステージから見える光景を歌っている。
指がフロアを埋め尽くす海のように見え、その海を焦らしたり、泳いだりというSMのような気持の駆け引きが描かれている。
「目下の泥濘」と同じ作曲者である、Zillのテイストが全く違う曲を作り上げる底力を見せた曲となった。

散らばった感情拾い上げ 無理に笑わなくてもいい
足を止める場所が 此処ならば それこそが答え

痕跡とキャンパス

Soan初作曲。Moranというバンドが結成される前に、すでにあった作品で、
Hitomiとのセッションを行った際に、演奏された曲が今回リリースされた。
つまり、HitomiとSoanの想いで出来た作品を、さらにVelo、Zillが気持ちを汲み取り、完成された作品となっている。

大事にしていた絵を壁から外すと、白い跡が付く。
大切にしてきた、そこにあったはずのもの…"Fatima"という絵。
しかし、今はその絵を大切にすることが重要では無く、
今の自分にとって必要なのは、真っ白なキャンパスに絵を描くこと、

"失ったものは失ったもので大切にし、これから新しい道を歩んでいこう"という前向きな意識を描いた歌詞となっている。

どこか純白を感じさせる、結婚式の鐘の音を思い出させるシンセの音。
それでも、ひとつひとつの音が力強く、歌詞の言葉を強調させる。強さを持った曲である。

胸を打つ 言葉だけ 零さずに 失くさぬ様に
遠い声、目を閉じて 暴かずに 追わない様に

my evaluation


全体的に、Elementのアンサーソングの作品、「喪失からの脱却」をテーマに描かれた「目下の泥濘」。
おそらく、「目下の泥濘」というシングル単体で聞くと一塩なのかもしれないが、
Elementの歌詞の中にあるメッセージを心に秘め、失ったものを取り戻そうとする今作のメッセージに気付くと、
この作品への見え方がガラリと変わると思う。
言うならば、受け取り手の意識によって、好き好みの理由が変わる作品である。

最近の子は歌詞をそこまで読み解くのかは解らないけれど、手元にある人はそういった楽しみ方もしてほしい。

なお、今回、サウンド構成の試みとして、本来バンドサウンドが構築されていから、
ヴォーカルメロディが作成されるが、その逆をあえて行い、アレンジを施したとのこと。

そういったチャレンジも含めたシングルとなっており、短い期間ながらも良いものをリリースしたと評価する。
全曲ライヴでも演奏されており、どの曲も重宝された曲となっている。