例え話を持ち出し、自分が使える「魔法」の説明をする場面を歌っている。
舞台は独房。堕落者が集う階層に一人の「魔法使い」が現れる。
ここで言う魔法とは、手品でも魔術師が放つ呪文の類でもない。
人間の消し方、社会的な存在抹消を「魔法」と呼んでいる。
デジタルヘヴィサウンドが心地よいが、この曲の特徴は何といってもサビの「ランラン〜」の部分だろう。
魔法使いの台詞と思われる歌詞部分、主人公の歌詞部分が交錯しており、
踊るようにクルクル変わる展開が、主人公のフラッシュバックのように感じさせる。
軽いステップで魔法使いが
ランランラララランランランラン
和のお祭りを感じさせるノリの良いサウンドだが、どこか落ち着いている雰囲気も感じさせる奇妙な展開。
というより、奇妙に感じさせるのはGoshiの声も要因の一つだろう。軽いヴォーカルなら普通の曲になりそう。
短いながらも歌詞内容はホラー調の歌詞。
長い夜、人間の解体をしていく一人の人間に、箱詰めにされた胴体が届く。
胴体に添えられた手紙や、長い夜に考えた「何故、自分は解体しているのか」の理由求めにより、
一つづつ、意味を見つけていき、心のもやを晴らしていく光景。
このサウンドはその心理作用を描いたものなのかもしれない…が、歌詞に謎がひとつある。
「誰が、誰の胴体を送った?」
何が見える 何が見える
SUICIDE ALIが過去、「赤道」というシングルをリリースしており、
これまでのライヴで長く続けて演奏された「人間の要(ニンゲンノカナメ)」が、今回のシングルに再録。
再録といっても、元々完成されていた流れだったりするので、
「劇的に変わった」というより変わったの展開と、歌詞の微妙な違い、サウンドの厚みと考えていい。
新規ファンなら喜び、元々のファンなら、「あんまり変わらないかも?」と感じるかな。
激しいサウンドと、再構築された音圧バランス、
デスヴォイスと昂揚させる展開は正にSUICIDE ALI。
歌詞では、人間の要…「犠牲となった一人の少女の心」が描かれているおり、悲話が描かれている。
何も知らず、幽閉された少女、その少女は物語上、世界を救うために捕えられたと思われる。
「いつか救われる」…そう信じ、待ち続ける。
作り上げられ続ける廃人達、加えられる暴行、耐え続けるものの、やがて心(要)を閉ざす少女。
助けに来た時には既に遅く、二度とその少女に生えた羽で空を飛ぶことも許されない状態になっていた。
心と引き換えに、守られた世界。
支えきれない程の苦痛を呼ぶ夜を受け止め、傷ついた人間の要は、
朝日に抱かれ、別れを告げる。少女の最後の息吹とともに、光と成り、空へと還る。
ささえきれない夜が閉ざした不実を 受け止めて羽ばたく少女の息吹
朝日に抱かれ別れを言えたなら この世界に一つ光るキミの要
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