ALI PROJECT
ARISTOCRACY
miserere
(insrumengal)
少女貴族
引きずり込むような歪んだテクノサウンドからアリカ嬢のボーカル。ハイテンポな攻撃的リズムでマニアックな世界観を出している。歌詞の内容は「この世の美の衰退」。汚れていく地上に存在する真実の美。音も攻撃的で歌詞もかなり社会批判。アリカ嬢の本音が見えるような気がする。
「この地上に美が消えれば 生きられない私たち 誇り 高貴 純潔の我ら 聖裁の剣翳す」
コッペリアの柩
ALI PROJECTがアニメの主題歌としてメジャーになりはじめたキッカケの曲。
おそらくここから知った人も多いはず。バイオリンとテクノサウンドが融合したALI PROJECT代表曲。自動人形であるコッペリアが感じた人間の世界。人形ゆえ眼が見えず、愛を欲する。
「コッペリアの柩 人は踊り疲れた人形 祭壇の羔(こひつじ) 機械仕掛けの夢は どこに向かってゆく」
病める薔薇(そうび)
愛しい人の思い出の香り…薔薇の香り。
それはやがて、匂いの亡霊として女にいま土の中で眠る愛する人を思い出させる。霧のかかったにかかったかのような悲哀…どこか寂しさも漂う雰囲気を醸し出すバックサウンドが特徴。
「やがて朽ちゆく その葉陰 面影だけが仄揺れて なべて闇の中」
MALICE
「悪意」
ラジオかなにかを通したように聴こえる加工された…閉鎖されたかのように歌い上げるアリカ嬢の毒を含んだ可憐な少女のようなボイス。音が少ないにも関わらず静かな狂気を感じる曲。間奏手前で悲鳴も聴こえる。「恋」に狂い研いだ銀のナイフで最愛のあなたを…という恋に病的・狂気的に変貌していく内容です。歌詞の
「悪夢と快楽 その隙間が愛なの」という歌詞がツボです。
a la cuisine
「1、2、3(アンドゥトロワ)」で始まるアコースティックギターのアルペジオとバイオリンの音が、心を潤すように…リラックスさせてくれる曲。恋人とのお茶会の準備。「コッペリアの棺」のシングルVersionのカップリングで収録されているような大人しめの曲。
「気をつけて 恋の炎は 舌を焦がしそうな いきおいなの」と可愛さも見えます。
桂花葬
夜空を見て、人を思い、考え…甘い記憶に浸る…といった内容。さきほどの「a la cuisine」では昼のようなポカポカした暖かさを感じたがこちらではどこか夜の冷たさを感じる。でも嫌な寒さではなく…ひんやりとした、そんなサウンド。絵画的で聴きながら想像すれば、どこか風景が目の前にあらわれるんじゃないかな?
閉ざされた画室(アトリエ)
年老いた画家と少女の物語。
過去の空間に漂うようなゆったりとしたリズム。ピアノと、シンセサイザーのリズム音が落ち着かせることなく、どこか不安を誘うようなメロディ。年老いても、青年の眸(ひとみ)のまま…最後、あなたの心の中に、私を置いていてほしいと願う少女の願いが愛しく感じる。
un tableau blanc〜絵画旅行〜
バイオリンのストリングスの美麗な旋律がゴシックの世界に引き込む。
神秘性を帯びたサウンドに載って流れる歌詞では何通りの絵画を描くように、フレーズ毎に絵画的な物語がある。「この胸には 誰にも描けぬ あなたがいつもいる」。
闇の翼ですべてをつつむ夜のためのアリア
夜…闇の静けさのなか、愛しい者を想い、
「今宵の 夢の終わりで消えるでしょうか」と自分の中で消えることを恐れずっと想い続けようとする一途な想い。ハイトーンボイスと最小限の音が静けさを際立たせてます。
プラタナスの葉末に風は眠る
(insrumengal)
Sacrifice
ゆったりとした心を乱すかのような怪しげで耳を通して脳内をツタツタと鳴り響く同期音。
生きている証を…自己の犠牲により光を求める。民族音楽のような…儀式的なものを感じるダークゴシックミュージック。効果音のコーラスが不気味過ぎます。闇のALI PROJECT…といった感じかな。一番、「黒い」曲。
「堕落の楽園で 快楽は美徳の神 獣は肉体を喰み 少女らは虚無を孕む もっと光を」
solemnis
(insrumengal)
まとめ
「貴族政治(の国)、貴族(社会)」といったタイトルがつけられたこのアルバム。内容としてはかなりディープ。「悲恋」が多かったけれど、その中にある儚さを表現しきれたゴシックアルバム。はじめての人が買う…それでもオススメできていいと思う。「死」とか、「血」「薔薇」って言葉が飛び交うマニアックアルバムだけど。(笑)
そうだなぁ…ノリがイイ…とは言えない。どちらかといえば全曲スローテンポで飽きる人は飽きる。でも聴ける人は何度も聞けるようなアルバム。スローテンポはすっ飛ばす人は他のを集めたほうがいいかも。ちょっと心に余裕があれば「コッペリアの棺」を聴きたいがために買えばイイと思う。でも…ホントイイアルバムやね。「少女貴族」「コッペリアの棺」「MALICE」は個人的に必聴。酔う人は本当にこの音楽に酔えます。
【購入優先度】:

130/200
買っておいたほうがいいけれど、新曲購入後でも十分。
【値段高価度】:

140/200
値段は高くならない。でも店によったら入荷をお願いしないといけないかも。
【オススメ度】:

130/200
マニアックすぎて好みが分かれるところ。でも毎度のことだろうけれど。
【即ライブ用】:

130/200
「少女貴族」と「MALICE」「病める薔薇」は高確率。
【幅広さ度合】:

140/200
全体的に負のオーラ。ゴスというよりは、現代の負を吐き出したような内容。
【泣かせる度】:

100/200
イイ意味で気持ち悪さのあるアルバム。でもその中の悲哀を感じ取れれば泣けるかも
【全体的総評】:

120/200
悪くはないし、クオリティもいいほうなんだけれど、一般には受けにくいアルバムかと。マニアック。
>>BACK?