掻き毟るように奏でるギターサウンドから、ドラム、ベース、
ヴォーカルと音が一つ一つうねりをあげて重なり合う。
音としては全体的に冷たさを感じるが、どこか心強く、胸を昂揚させるリズムを感じさせる。
抽象的な表現で描かれた世界、その中に書かれた、「貴方」と「僕等」。
『誰に歌を歌うのか』、『何のために歌うのか』、
ケミカルピクチャーズとしてのバンドの胎動としてこの曲があるように思える。
いつか燃え尽き灰に僕等はなるだろうけれど
あの日肌で感じた熱は忘れない
Reincarnation「再生, 化身.」
ケミカルピクチャーズのCMPVともなった今作のタイトル曲、「Praparat」。
サウンドとしては基本はゴリゴリとしてファンキー、しかしサビになった途端、
急に綺麗なメロディを魅せる複雑な展開を見せる。
不思議なことに、静と動、化学反応を起こすように展開を見せるものの、
その癖が病みつきになって聞き入ってしまうのだ。癖の固まりのようなてんてんのヴォーカルが心地よい。
このサウンドがバックでないと映えないとさえ思えてしまうほどのマッチ感。
Praparatとは、小学校の頃の理科に使った記憶がある人は思い出しやすいだろうけれど、
「生体や鉱物の資料をスライド-ガラスにのせ、カバー-ガラスでおおって封じた顕微鏡標本。」
人工衛星から見れば、細菌レベルの人間、顕微鏡を覗くかのようにこちらを見る神様に届くように、
プレパラートの上で音楽を響かせる。小さな細菌達が生命の咆哮を上げる。
顕微鏡覗いた神様へも届く プレパラートの上 音楽よ届け
所詮小さな永遠の物語 僕等は何者にだってなれる
HP上でも流れている曲で、ギターのみで奏でられる静かなインストロメンタル。
聴いた印象だと、HP上のより、CDバージョンのほうがガチャガチャしていなく、
沁み渡るという意味で好み。ちなみにタイトルは「シュヴァルツヴァルト(黒い森)」と読む。
これはある意味直球で、ドイツに実在する場所の雰囲気を出しているんじゃないかなと。
また、気になるのが、このバンドのギタリスト「Schwarz」の存在。
作曲者であり、自分のステージネームを含めているところに何か意味を感じるね。
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my evaluation
限定店舗もしくは会場でしか買えない音源だけれど、
ニコニコ動画でいうところの「もっと評価されるべき」というタグが似合うニューシングル。
てんてんの声が嫌いだとか、もっとキラキラしたのが好きだとか、
有名どころでないと聴かないだとか、そういったものは排除してでも聴いてほしいところ。
KuRtだったときも好きで、てんてんに盲目ってわけではない。
おそらく俺はこれを初聞きしてても気に入っていたと言えるぐらい。
販売方法や値段以外で、今のところ、非の打ちどころが無い。音が凄く良い。
ちなみにPVがついてきて、ライヴ映像とPV部分が交互に流れ、リンクしている内容。
映像は美麗で、演出上のノイズも気にならない。CDの盤面はカセットテープ、
DVD盤面がビデオテープであるところもこだわりどころだろう。
1000枚限定で最近、追加されたらしいがぜひ購入して欲しい。
アイテムを手に入れる喜び、良いサウンドに巡り合うための喜びを真に感じてもらいたい。
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