物悲しいアルペジオと、心地よい浮遊感を与えてくれるメロディ。
音としてはバンドサウンドなはずだが、「静」という言葉が似合う空気を纏っており、
結果として、
想のエモーショナルなヴォーカルが映え渡るバラードとなっている。
戦争に向かった主人公。交わした約束を交わせぬまま、
伝えたいことも伝えぬまま、
サヨナラも言えず、死に逝く生命の灯火。
無常にも、既に他界した主人公に一通の手紙が送られる。
手紙を綴るとき、帰ってくると信じ続けていた、恋人からの…。
ひとつだけでいい叶うなら 伝えて・・・・
「大切な人よ 今も 誰よりも 愛してる」と・・・・・
「手紙」の静から、叙情的なメロディを奏でる、「祈り」。
身体に沁み込む歌詞に含まれた言葉。
闇に差し込む光、決して明るくはないが、どこか強さを感じるのは、
全体のサウンドや想のコーラスの演出のせいだろう。
戦争によって起きた悲劇。しかし、歌詞の主人公は戦争で人を殺めてきた兵士。
千切れた足を探す片目で嗤う少女。
自分が何のために戦い、何を奪ったのかを思い知らされる光景。
背に架かる罪の重さに祈りを込めるも、夢でまだあの光景が思い浮かぶ。消えない。
重く背に架かる罪は祈りへ姿を変えて
胸深く抉る声に導かれるまま
まだ寒い初春の海へ飲み込まれてゆく
眼を閉じて浮かぶ面影に顔を埋め巡る思いに
emmureeの狂喜的な部分が前面に出たサウンド。
どこかゴシックも感じる曲展開と、想のヴォーカル。
しかしただ、激しいというだけでなく、
その歌詞の中には、「祈り」「手紙」と同質の、仄暗い中にある温かい何かが潜んでいる。
遠い異国の国から届く愛する人の声が聞こえた気がし、目覚めてみると、
そこには荘厳な鐘の音が鳴り響いていた。
葬列の主役は、バラバラとなり肉塊となった彼女自身。
女性は死に逝く肉体と、存在が消滅する感覚を体験する。
大切な人への心残りと、止められない無力感が一層、狂気を際立たせる。
あぁ止まらない覚醒する痛み 脈打つ鼓動を 誰か・・・止めて
あぁ止められない 救いを求める術も無い私を誰か・・・止めて
メロディアスという言葉が似合う、emmureeのストレートナンバー。
闇を孕んだバンドサウンドで格好の良さに意識が先行するが、
この「祈り」に含まれた三曲を経て、「真実の雨」を聴くとその曲の魅力が増す。
真実とは一体何なのか、嘘で蔓延した世界のため、戦争に向かう。
永遠を誓う二人は離れ、異国の地で、銃弾が主人公を貫く。
その銃弾の嵐は真実を含んだ雨のように感じた。死を与えるための。罪を償うための死という真実。
交わした接吻は I don't ever want to be alone
螺旋を描いて Finds the truth in what is spoken
悲しみ癒えるまで I don't ever want to be alone
永遠を描いて Finds the truth in what is spoken
真実の雨が沈黙の中で僕を撃つ
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