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額縁
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人格ラヂオ/ ジンカクラヂオ
額縁
発売日:2006/11/29
参考価格:\1,050
※この情報は、2009/05/13 00:11のものです。
額縁

夢、希望、紙上に描く自由。考えていくうちにぼやけていく「自由」という輪郭、
本当の自由は解らず、口に出しても、その答えは見つからず、
こぼれ出す言葉は全て本当の幸せには程遠い「自由」。

「不自由の自由」、人は自由になりすぎると、
あまりの選択肢の多さ、その自由を得るための代償により、
人の味方によっては不自由になってしまう。人間は縛られることで生きていける。
人間はどこかで、固定されることを望む。額縁で囲まれることを。

「自由」を描くことは悪くは無い、ただ不自由の中にいても、
ありもしない自由を描く己の弱さを受け入れ、その中で生きていくことは悪くない。

何かにあてはめられて生きる時間にも自由がそこには存在し、
与えられた時間が制限されているからこそ、一生懸命生きていけるというメッセージが含まれている。

ダークなイメージを持っている人にとっては、この曲は人格ラヂオらしくないといえばらしくないだろう。
しかし、人格ラヂオの本質、浮遊感のある心地よく繊細なサウンド、
複雑な心象描写と解りやすいメロディという相反する魅力を理解する人にとっては、受け入れやすく、
またこの曲に関しては、新しい人格ラヂオの形として聴き入るのではないかと考える。


両手は不自由に弧を描き 戸惑い隠せず彷徨うから
滲んだ色を拾い集めて  せめて繋ぎ止めて欲しい


飼育箱

歪曲したラヴソング。モチーフとしては、「東京都少女監禁事件」。
少女を監禁し、「王子」「ご主人様」と呼ばせていたという事件である。
独占欲の強さ、故に巧くいかない愛の伝え方。
飼育箱に監禁しても、自分を好きにならないことに戸惑いを感じる主人公。
人を心の底から好きになることを初めて覚えるもの、それに執着し、結局は報われない、憐れな恋。

曲調としてはアルバム「証拠」にも収録されている「火曜日の焼却炉」や「ネジマキドリ」の部類で、
聴いた感触としては少し前の人格ラヂオのサウンドである。皆が想像しやすいダークな世界。

抱き締めたい壊れる程に 永遠に閉じ込めたい
乱れていたいでも飲み干したい君は僕の手の中に


my evaluation


新しい面の「額縁」と、昔の面を見せる「飼育箱」。まったく逆ベクトルを向いた曲が収録。
しかしながら、二曲だけでもループできるぐらい耳にストレスを感じない。
歌詞を噛み砕いていけばいくほど、人格ラヂオの世界にドップリと浸れるような秀逸作。

CDジャケットもどこか不安定なものの、色彩が綺麗。
暗くて重いイメージのある人格ラヂオであるが、そんなイメージを払拭させてくれる。
値段も手ごろ。人格ラヂオに触れていない人には是非触れて欲しい繊細な作品。
聴きやすいながらも、歌詞の世界がデリケート、初心者でも聴きやすいなかなか良い作品です。