バンド名を訪仏とさせるような壮大なキーボード、まるで涙を流し歌うような泣きギター。
苑のヴォーカルと、重ね方も手伝い、ストレートながらも深みを与えるような曲となった。
頭から離れない大切な人の悲鳴、記憶の中、何度も手を伸ばすものの届かない光。
もう二度と魂を取り戻すことはできなくても、瑠璃色で描く虹のように、二人で作り上げてきた記憶を描き続ける。
大切な人の存在を残すために。
痛みを抱えて 見上げる勇気を失くして
抱きしめてくれる手を探した
応えてほしいよあなたに変わらない声で 記憶とは違う言葉を
こちらも一曲目に引き続きストレートな楽曲となっているが、歌詞に色気を漂わせる言葉を使っている。
しかし、不思議なのがその歌詞の底に女性の強さのようなものを感じる感覚を持つのは楽曲の雰囲気のせいだろうか。
大切な人を引きとめようと、自らの全てを差し出す女性の物語。
離れていくことを止められないと解っていても、これを最高の恋にしようと最後まで足掻く執念のようなものを感じさせる。
さよならも言わないようなあなただから
悔しいけど好きになったの
あなたに触れた今日の夜を胸に生きるわ
バンドサウンドから、ヘッドバンキングを誘うような慟哭が鳴り響く、忘却セルロイド。
激しいながらも哀愁を漂わせるメロディが聴きどころとなっている。
邂逅していくたびに思い出す、青い空と過ぎ去った想い。共に美しく美化され、辛い思い出が消えていることに気付く。
時が過ぎ、次に大切な人と出会うことになっても、
その美化された記憶の延長上に見せる笑顔のままで居てほしいという祈りが描かれている。
時が過ぎて 今日の様にあなたを思い出しても
変わらない笑顔で笑っていてほしい
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my evaluation
今作品は、すべてヴォーカルの苑が作曲しているので、歌モノ系が集まっている。
三曲入りだが、全体的に似たようなテイストの楽曲が集まっている。活動して間もないので、名刺代わりの作品となった。
よって聴きやすさは抜群なのだが、その反面、実験も無いので、ひっかかりに弱い点が否めない。
値段は少し高め。枚数も少なめだったかな、入手がやや困難気味である。入手を検討しても良いが「GILIA」などから入れましょう。
良い悪いの点で考えると、良い作品であるし、取っつきやすさが良い評価である。
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