どちらを選んでも、やがて結末には代償を払い、大切なものを失うことは解っていた。
バンドの存続と解散、守るべきものを天秤にかけ、選択を迫られる。
手が届くまで、常に浴びてきた言葉の裏にある悪意、身を歪め、苦悩しても、
喉を嗄らし、大切なファンである皆の声を聞き、救われた、Sugar。
手を伸ばせば届くかもしれない…。
希望に満ちていた夢は、僅かばかりのところで届かない現実を歩く。
屈み込み、諦めが過ぎったときに見たその夢は、
気づけば遥か遠くにあり、届かない場所に消えてしまっていた。
言葉の裏に隠した様々な思惑、たくさんの言えないことを抱え、吐き出す「解散」の言葉。
罵倒を覚悟していた。怒りを覚悟していた。
裏切りのはずなのに、悲しいはずなのに、納得しないはずなのに、
優しく迎えてくれる大切なファンがそこに居た。
過去の曲、「独白」では己の苦悩を詰め込み、忘れられない思い出として形作った。
この曲は、一人一人、手紙で想いを返すことは難しいけれど、
優しさへの謝罪と感謝の気持ち、そして、この先の未来の幸せを心から願う、祈りを形に変えた歌である。
「解散」の言葉を吐き出した後、己の元に辿り着いたファンからの手紙をひとつひとつ読み、心に刻み、
Sugar全員の気持ちを音というインクで記し、ファンに宛てた、最後の手紙である。
今思い、願う。
「 少しでも幸あるように 」「 笑ってくれるように 」 だから
今思い、描く。
「 この先に光あるように 」「 抱く夢失くさぬように 」
ジャジィーな部分を感じさせながらも、ストレス無く聴かせるロックナンバー。
タイトルの通り、エデンから追放されるアダムとイブの物語、楽園追放をモチーフに描いた作品である。
その楽園追放をどこか自分達の姿に重ねるようなニュアンスを感じさせる節が見え隠れする。
解散という裏切った罪を背に、歩き出す。許されるはずもなく、結末も変わらないことは解っている。
ただ、足掻く様に、最後まで想いを軌跡に描く。
自分達がそこに確かに存在し、守り続けたかった無為な愛は、偽りではなく、真実であったことを。
足掻いてついた傷 抱いて朽ちていこう
汚れた羽でだけ 目指して辿り着ける軌跡
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