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Mad bless you
GULLET / ガレット
Mad bless you
発売日:2003/07/07

※この情報は、2009/01/25 23:21のものです。


アリス

妖艶でエロスさえ感じさせるサウンド。
ゆったりとした聴かせる音ながらも、身体を自然と乗せるリズムが裏でしっかりと入った曲。

歌詞は、「ネクロフィリア」。

自分だけのものにするためにアリス(愛する人)を壊し、首を箱詰めにして、
汽車に乗って逃亡…『これでずっと一緒…』と思ったにも関わらず、
太陽が強い夏…肉体が腐敗し崩れていくアリス(愛する少女)。

ようやく、現実に目覚めて幻から覚める自分に残ったのは、哀しい現実。

痛がりのアリス 〔二人〕を拒むな
躊躇い差し出した愛と欲はあまりにも君を変えた





Instance

InterNetが復旧した電脳世界。
自称サイコと名乗る人間をあざけ笑い、電脳世界に住む住人を歌う。

ズクズクとした刻むようなビートで進行するこの曲。
疾走とまでは行かないが、煙に巻くようなギターノイズなど、
リスナーを昂揚させるようなエッセンスがかなりふんだんに使われている。

最後、ネット廃人と化した、住人、歌詞の主人公が『現実』という舞台に上がり、目覚める。

扉を開ければ 粗悪な俗物の徘徊 maze
独白で毒を吐く「管理者」 独自のDiVerSion





deracine

フランス語で「[根無し草] 故郷を喪失した人」「冬」となる。
タイトルの意味となる「故郷を喪失した」の「故郷」とは、生まれた場所ではなくて、
「愛する人」を帰るべき場所を故郷とし、
その愛する人が死んでいたため故郷を失った⇒根無し草となったと解釈した。

一曲目「アリス」との繋がり。
面影も無いほど腐っていて、誰かも解らなくなっていた恋人。
独りよがりの愛情の結末。帰ってきてよと、
自分に殺された時の気持ちも確かめたいけれど確かめられず、割れた声が響く。

疾走感あるストレートナンバーながらも繊細な歌と、冷たいギターサウンドが哀しすぎて、
複雑な気持ちをかき混ぜる。

諦めの悪い この僕は
声が掠れるまで 唄うから お願いだ笑ってよ




剥離

「剥離(はくり)」…見覚えがあるのは、拳銃の引き金を引く瞬間。
「剥離(はくり)」…覚えているのは羽ばたいたら空も飛べると信じ、飛び降りた瞬間。

「アリス」、「deracine」…そして「剥離」へと繋がる。
愛する気持ち、後悔の気持ち、
月日が訪れるに連れて、本来あったはずの彼の精神が剥離し、
やがて死んだはずの彼女が、彼の精神を蝕み、奪おうとする。

仄暗いベース音が静けさと不気味さを漂わせる。
ヴォーカル:漾の綺麗ながら泣いているかのようにも聴こえる歌声、
ゆっくりと…ゆっくりと、朝が来る。
二人いつまでも一緒…永く永く…時間が二人を歪ませる。

還りましょうよ 床にキス。
歓声はなく、侘しい 歩き方さえ忘れたの

永い永い時間が 両者を替えた
歪み、歪み、この身を奪い合う




my evaluation


  • まとめ

  • 全部、俺の一つの解釈だからいろんな見方があると思うんだけれど¥、
    音一つでここまで広げれるぐらい聴いていて飽きない作品。
    四曲入りのシングルなら、最強の域かなぁ…俺にとってはね。
    初回限定3000枚、2ndプレスも発売されるも全て完売。前作と組み合わせると恐ろしい作品集になる。
    ジャケットは「剥離」からのイメージと思われ、
    この作品の元ネタは、京極夏彦の分冊文庫版「魍魎の匣」。


    <追記>
    「アリス」⇒「deracine」⇒「剥離」って流れが自然。
    一人よがりの愛を押し付ける形となり、愛する少女を殺し、首を箱の中にいれ、
    「ずっと一緒…」と思い、汽車に乗って遠くへ遠くへと向かう途中、異変に気付く。
    夏場の射光、少女の首はみるみる腐り果てていく…、冬(dearcine)となり、腐り果てて形も無くなり、
    笑うことすらなくなってしまった少女。

    愛する少女を手にかけ、全てを失ってしまった男…一日一日が過ぎては終わる。
    やがて男の肉体から精神の剥離が始まる。
    二人一緒…やがて男も力尽きる。永遠に…永遠に、結ばれる…。