静穏の中に響くギターアルペジオから、拳を振り上げ、
統括を見せるような掛け声が特徴的な、ダークナンバー。
ライヴ時とは少しアレンジが違い、すこしゆったり目でありながらも力強さがあり、
niguのヴォーカル・シャウトが活かされている。
また、一辺倒の展開ではなく、哀愁漂うピアノも入り、
一曲目からかなり豪華な展開を見せる、「chloe(クロエ)」。
歌詞では、単語フレーズにもあるように、バレエ音楽となる、
「ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloe)」がモチーフとなっており、
クロエを(君)と曲内で読んでいることにより、ダフニスの視点の曲となる。
クロエに対する、心に芽吹く恋という感情。
その感情の正体を知ろうとするたびに人の中の闇を知り、
生きること自体に疑念を持つダフニス。
憂いあるこの世に咲く、闇を抱いて咲く黒い花(人間)、
ただ咲き、枯れることも出来るが、何故自分が生まれ堕ちたかを自己に問い、
やがてダフニスは答えを見つける。
疑念を振りほどき、クロエの手を取る。
生きる理由がクロエと共に生きることにあると信じ道を選択する。
この選択や疑問を、ダフニスやクロエをモチーフにしているが、
cocklobinとして「始動」を感じさせる…手を取り共に進もうとする光景を感じさせる曲である。
生きているかを問おう 生は楽か苦か見下ろす苛もなく身を刺す想像
ただ生きているかを問おう 生は楽か苦か見下ろす苛もなく身を刺す象徴
ウィスパーヴォイスながらも、ダンサブルなテンポがあり、
サビの変拍子、シャウトによるメリハリなど展開が飽きさせない展開でとにかく面白い。
niguの明るいサビの歌い方が、闇を切り開くような表現力があり、曲調、ヴォーカルともに、
tosinnからniguを知っていれば、この展開はニヤリとする展開である。
幸せを望むのか、欲望を望むのか、絶望を望むのか、
この世には様々な境遇や心境を持った人間たちがいる。
そんな中、やがて明日が見えなくなり、死を求める人間たちもいる。
そんな時は闇を求めてみよう?と囁く。いつもの夜に安息を感じ、沈むのだ。
闇を楽しめればやがて、いつもの朝が来る。
朝は全員共通の苦の色、血の色、身の色、血の色を描き、その繰り返し。
「闇に沈み、朝を描く」、ただその繰り返しこそが生きることなのだ。
流した涙の欠片集め 君に咲いた闇を塞ごう
「もういいの?もういいの?」もういいよ
ライヴ活動を開始する前まではおそらく、myspaceで聴いていたであろう、「coil」。
sample versionで聴いた時と比べて、根本は変わらないものの、音の純度が大幅に変更されており、
オリエンタルな要素が全面に出たパワーバラードとなった。
niguのこれまでのバンド活動で培ってきた一面が強く出ているように個人的に感じる。
生き、死に、その繰り返し、輪(coil)のような循環…輪廻。
何者に生まれ変わっても、闇を掻き分けていく日々。
傷痕を刻み込み、その瞬間にしか歌えない悲歌を歌う。終わりのない世界を生きる。
何処まで見る世界 その先へ 傷痕を刻み込め
果てしないこの時 その先へ その場所へ 小さな光 胸に刻んで
しっとりと聴かせるようで、全体的に楽器陣・ヴォーカルともにヘヴィサウンドを使っているギャップを持ち、
本来ならラストに持っていくべき曲のようにも思える「翼」。
今回のDDCで、唯一、myspaceで公開されていない曲で、
試聴して楽しみにしていた人にとってはこの曲が一番、『何が来るか解らなかった』であろう曲。
夢や希望という楽園を夢見て、
今いる海底という現実とのギャップに悲しみ、泣き死にそうになる主人公。
かつて自分に、導きを与えていた翼があり、何かの拍子でもがれたかどうか解らないが、
どうやって楽園への道を行けばよいのか解らず、舵を失った船のように全ての道を見失う。
しかし、主人公は気づいたことがあった。
闇夜に闇を差す翼がそこに生えていて、見えないだけで、翼は失っていない。
その闇に導いたのは、間違いなく翼であり、決して堕落したわけではない。
闇に行くべきことは運命であり、
そこから目指すべき場所へと翼を闇夜の中で動かせば必ず楽園に辿り着く。
導かれて、絶望という海の底に来た。後は自分に生えた翼を信じ、海底から楽園へと目指す。
身を刺す雨に打たれてた 暗い海の底で泣いてた
闇夜を闇に刺す翼が 僕らをここまで導いた 目覚めよ
ヘヴィながらも軽快なテンポを見せる、「cock」。
疾走感というよりもフットワークが軽いといった表現が合っていて、暴れれる!ノれる!カッコイイ!と、
一番聴きやすいながらもリスナーにガツンと来る音圧が心地よい。
初めて見る人なら絶対に惹かれるエッセンスが詰まってる。
闇の世界から光を求め、神へと挑む光景を感じさせる歌詞。
無限を感じさせるような日々に挑み、闇夜をの中で夢と心を結ぶ。
闇の中で戦い続ける周りの人間に「仲間」を感じさせる歌詞。
この世界映す空を捌け 終わりはもう無く
無限に続いて行く この時を 越える
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