今にも解けそうな存在の、僕と君。
互いに消えてしまわないように、
共存しようとする「弱さ」さえも綺麗に見せる美麗で繊細なサウンド。
水が流れるように澄んだ音色?
雲が流れるような青空?
どう表現したらよいか解らないが、
心が表れるようなサウンドであることは確か。
久々に神秘性のある曲を聴いた気がする。
僕たちは哀れな程脆く、儚くて
神様は 空から
こんな僕ら 嘲笑って
軽快なテンポと、澄んだ空を奏でるような音色。
かすかに聞こえるピアノの音と、シンプルなフレーズの繰り返し。
単調のように聴こえつつも、心が昂揚していくのはきっと、
恋愛映画のワンシーンを切り抜いたかのような歌詞世界が映えるからだろう。
バスを降り、二人で入る赤いパラソル。
思い出したくない記憶が蘇ろうとするなら、二人で言葉を交わす。
赤いパラソルに二人で入って。
痛くなったなら今日と同じ様に赤い傘差して君を待つよ
霞んで消えていきそうなヴォーカル、手鞠の表現もさることながら、
混沌とする精神を演出するかのような細かいギター音が良い。
ベース・ドラム…全てのサウンドが異色な空間を生む。
歌詞の内容は…読み取る限りでは、「懺悔」。
自分と触れ合っても笑顔でいてくれた君。
その笑顔は、感情を磨り潰し、受け入れてくれた大切なものだった。
ある日、彼女が壊れる。衰弱した僕は、
やがて、君を求め、階段を一段、一段と昇る。
笑って、そこで待っていてくれていると願いながら。
長く続く雨は祝福する
ただ愛しさは止めどなく
密やかに 密やかに朝は来る
どこかアラビア音階が入った妖しいフレーズ。
前曲の『絞首台から花束を』への流れがなかなか良い。
一面、一面と一つの物語が進んでいくかのように進む歌詞。
心も身体も委ねた素振りを見せる。理由は「私の心を埋めて欲しい」から。
寂しくて、人に会い、また離れ……皆が皆、行く先は告げない。
変わらないのは、嘆きの空。一向に変わらない表情の空と同様に、
主人公の不眠症(インソムニア)は続く。
ワイングラスの中に赤い罠
汚れた「下」の「上」で目を閉じる。
粉雪がしんしんと降るかのような綺麗な音色。
「slow.」というタイトルどおり、スローテンポながらも、
退屈を感じさせない曲。ひとつひとつ丁寧に歌われる手鞠の歌詞の世界観は、
耳を通して私達を巻き込む。
大切なものがあった「あの頃の時代」と、大切なものをなくした「今の時代」。
理想や空想に生きたあの頃、早く急かされるように歩く僕。
いつの間にか、押し寄せる足音に合わせるようになった僕。
やがて足も手も感覚を忘れ、
引き金を引くことにさえ戸惑わないほど、「僕」を見失っていた。
見失った今、覚えていることは…『あの頃の粉雪が降る空は綺麗だった。』
寒空の下で今 耳を裂く
銃声が一度だけ鳴り響く
君は今 少しだけ ほら
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